2019年2月24日日曜日

個人的な見解による「現在のスタンダード環境での主なデッキとその強みおよび対策」-スゥルタイミッドレンジ編

 しばらくLoLをプレイするどころか日課であったはずの観戦も疎かになりつつある。
LoLはもはや1、2週間に数回程度しかプレイしていない。


 何故か? ――MTGという底なし沼にはまってしまったからだ。


 世界最古のTCGとして名を知られていたMTGは以前から興味はあった。あったが、耳が聞こえない以上、どうしても対人とのコミュニケーションを取らなければならないと考え、結局触れないままだった。
 2018年11月25日、無料でプレイできるというMTGAの存在を知った。じゃあ触ってみるか、と思ったのが運の尽きだった。とんでもない底なし沼だったのだ。

 気がつけば新パックの「ラヴニカの献身」のプレリリーストーナメントに出場していた。初めての紙なのに。ちなみに1-2、2-1という結果だった。

 そんなわけで、私は現在MTGにひどく熱をあげている。

 今や紙のスタンダードの方にも手を出し(一番安い青単アグロだが!)、毎日のように見ていたTwitchの内容もLoLからMTGに移り変わり、LoLの考察記事や現在のサモナーズリフトを取り巻く環境を読み取る情報収集も、すべてMTGに関する記事や情報収集を読み漁る日々になった。


 こうしてMTG歴約3ヶ月の初心者ながら、スタンダード環境を少しずつではあるが理解していった。



 BO1によるもので参考記録であろうが、一応ダイヤモンドティアーまで到達したので、私自身の整理がてら現在のスタンダード環境での主なデッキと、その強みおよび対策を書き連ねていこうと思う。





スゥルタイミッドレンジ


 現在のスタンダード環境における"最優"のデッキとは? と問われれば、おそらくほとんどの人がこれを上げるだろう。

優秀な生物、除去、アドバンテージ源とミッドレンジに必要なものが詰まっている。


 ラヴニカのギルド環境において、最上位のデッキの一つであったゴルガリミッドレンジで青をタッチした形となっている。その目当てはすばり《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》。

 X緑青、X/X、飛行・トランプル。そしてXの半分のゲイン・ドロー。
 アドバンテージの塊のようなパワーカードである。しかも「唱えたとき」なので打ち消されてもゲインとドローを提供してくれる。打ち消されない・呪禁の《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》ほどではないが、コントロールにとっては悪夢のような存在だ。

 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》と《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》、《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》の探検セットでマナが伸びやすく、そのマナの受け皿として膨大なサイズ・アドバンテージをもたらすこのキメラは最高のカードと言えるだろう。

《培養ドイルド/Incubation Druid》が入っている型。

 中には《培養ドイルド/Incubation Druid》を採用し、マナをさらに伸ばすことで《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》のインパクトをより大きくするタイプも見られる。



  • スゥルタイミッドレンジの強み


 さて、そんなスゥルタイミッドレンジだが、勝ち筋としてはすばり「アドバンテージ勝ち」によるビートダウンである。ミッドレンジは得てしてそうなのだが、スゥルタイミッドレンジに関しては特に濃く感じられる。



1.《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》がどんどん大きくなり、手がつけられなくなる。




 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》と探検セットで土地を伸ばしつつ、さらにパンプアップとゲイン。オマケにドローの質まで高めることができる。

 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》を出した次ターンに《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》が出ようものなら、「6点ゲイン、3/5と1/2(土地2枚ドロー)or 2/3(土地1枚ドロー) or 3/4」になるのである。
 この時点で「速攻でライフを削り切る」ことを目的とした白単、青単、赤単は一気に厳しくなるであろう。

 次々と探検クリーチャーが出てくると簡単に7/9といった大型サイズに膨れ上がり、除去を引けず成す術もなく殴り殺されるという事もままある。



2.《喪心/Cast Down》・《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》・《人質取り/Hostage Taker》などで除去し、盤面を支配する。



 上記の優秀なクリーチャーたちを支えるのがまた同じく優秀な除去たちである。
 これらは確実な1:1交換が見込める上に、《人質取り/Hostage Taker》に至っては1:2交換以上にもなれる存在だ。
 元が0/0である《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》に対しては確実な除去にもなり、万が一生き延びれば逆にたたきつけることもできてしまう。

 除去によって盤面を支配し、上記のクリーチャーでそのまま殴り倒すのも一つの勝ち筋となっている。


3.《ビビアン・リード/Vivien Reid》の-8能力(通称奥義)を起動する。



 《ビビアン・リード/Vivien Reid》は実にすばらしい。クリーチャーの補充による息切れ防止もそうだが、土地まで対象になるというのが実によい。
 クリーチャーがおらず土地を引いてしまっても、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》で得られるアドバンテージが伸びるのだから無駄がない。

 さらに-3能力で相手の飛行、エンチャントまで手が届く。
 これらを対象とする除去手段は比較的腐りやすく、メインに入る事はあまりないが故に、これ1枚で対策できるというのも大きい。

 +1能力で確実にアドバンテージを得つつ、飛行・エンチャントという脅威に対しても対応できる柔軟性は、スゥルタイミッドレンジにとって影のキーパーソンと言っても差し支えないだろう。
 地味に初期忠誠度も5と高く、出してすぐ-3能力を起動しても2残るのも嬉しいポイントだ。

 そんな《ビビアン・リード/Vivien Reid》だが、-8能力――通称奥義は凄まじいものがある。その効果は「コントロールしているクリーチャーは+2/+2の修正を受け、警戒とトランプルと破壊不能を持つ」の紋章を得るというものだ。
 この紋章を得た時点で勝利は約束されたようなもので、《ビビアン・リード/Vivien Reid》を守るクリーチャーや除去も豊富にある。お互いにクリーチャーを出し合うデッキ同士であれば、無類の強さを持つというわけだ。





4.《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》によるアドバンテージを《採取+最終/Find+Finality》で使い回す。



 ゴルガリミッドレンジにおけるフィニッシャーである《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》と《採取+最終/Find+Finality》のシナジーと似たようなものだが、方向性としては少し異なる。

 打ち消されない能力・呪禁持ちである《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》の数少ない弱点が《最古再誕/The Eldest Reborn》などの生贄に捧げさせる効果、そして《浄化の輝き/Cleansing Nova》といった全体除去だ。
 それに対する《採取/Find》の墓地回収もさることながら、地上戦において「殴ってきても相打ち覚悟でブロックするぞ」と数を並べてきた時に、《最終/Finality》の-4/-4でまとめて一掃し、そこから9/8に膨れ上がった暴君で叩きのめすといった二択を迫ることができたのが大きな強みと言える。


 一方で《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》は打ち消されない能力や呪禁がなく除去されやすいものの、唱えるだけで膨大なアドバンテージを得ることができる。ではその唱える回数が増えればーー?

 こういった意味で、スゥルタイミッドレンジでは墓地回収である採取の方を選択する頻度が高いといえる。
 《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》→《採取/Find》→《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》と連打していくムーブもまた勝ち筋の一つであるし、単純に《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》でドローした中に《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》があり、そこからまた連鎖していくだけでも非常に強力である。



 【まとめ】

《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》ら探検セットで土地やドローの質を高めつつ、《喪心/Cast Down》・《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》などで盤面を支配していく。
 中盤以降は《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》や《ビビアン・リード/Vivien Reid》でリソースを切らさずにアドバンテージを稼ぎ続けていく。

 こうして稼いだアドバンテージ差で勝利を勝ち取る、というのがスゥルタイミッドレンジである。




 このように非常に強力なスゥルタイミッドレンジだが、対策も勿論存在する。

1.全体除去に弱い。




 盤面を支配する事を目的としているため、その盤面というちゃぶ台をひっくり返してくる全体除去には非常に弱い。
 それ故に、こうした全体除去を入れるデッキーーエスパーコントロール門コントロールには弱いと言える。



2.エスパーコントロールやネクサスを始めとするノンクリーチャーデッキに弱い。



 豊富な除去を揃えても、それを撃つ先が存在しなければただの紙切れだ。特にスゥルタイミッドレンジの除去はプレイヤーも対象できるダメージによるものでなく、破壊・追放、マイナス修正であるためより顕著となる。

 エスパーコントロールは優秀な除去および先述の全体除去、そして《採取+最終/Find+Finality》や《ビビアン・リード/Vivien Reid》をカウンターする《吸収/Absorb》があり、一度盤面を支配すれば屈指のパワーカードである《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》で試合を終わらせることができる。

 一方のターボネクサス(シミックネクサスなど)はチャンスさえあれば《運命のきずな/Nexus of Fate》による無限ターンに入ることができ、それまでの時間を稼ぐ手段も豊富にある。
 ビートダウンといえども、クリーチャーのスタッツはそこまで良くなく、ダメージが足りなくなるケースが多い。



3.《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を筆頭とする呪禁大型クリーチャーに弱い。



 上記のデッキを見ていただくと分かる通り、《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を止める手段がX=6以上の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》ぐらいしかない。その頼みの綱も同じく優秀な除去で退場されてしまう。
 こちらも《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を出すという手段もあるが、現在のスゥルタイミッドレンジは《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を入れないタイプが多い。

 故に、これをメインのフィニッシャーとするゴルガリミッドレンジには非常に弱い。なんとか倒したところで《採取/Find》や《愚蒙の記念像/Memorial to Folly》で回収される。故にどうしょうもない。


 個人的にはゴルガリミッドレンジから進化したとされるスゥルタイミッドレンジが、元となったゴルガリミッドレンジには非常に弱いという事実は物語性が感じられて好きだ。




 と、ここまで見れば「弱点は結構あるじゃないか」と思うことだろう。
 これはあくまで「メイン」での話である。15枚のサイドボード候補を見ていこう。

 対コントロール・ネクサス




 黒絡みのデッキにおいて見逃せない強みの一つとなっている手札破壊の《強迫/Duress》だけでなく、タッチ青により《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》や《否認/Negate》といったカウンターも入れられるのも大きなポイントだ。
 これにより苦手とする対コントロール・ネクサスの相性が改善されるどころか《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》の存在もあり有利を取れるまでになる。




 さらに《真夜中の死神/Midnight Reaper》により、全体除去に対して耐性を得られるのも見逃せない点だ。ライフは失うものの、これらのデッキにライフはあまり関係ないため気にせずともよい。
 サイドボードからこちらのライフを脅かすカードを入れてきたとしても、《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》などがカバーすることで隙のない布陣となっている。



 対アグロ



 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》の存在により対アグロには有利だが、これらの除去を増やす事により更に有利になることができる。
 特に《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》は《徴税人/Tithe Taker》などがいる白単アグロに対して効果的なカードだ。


 また、猛威をふるいつつある青単アグロに対するアンサーの一つとして、この《クロールの銛撃ち/Kraul Harpooner》を採用している形も見られる。
 Cip能力である格闘で確実に1体を撃ち落としつつ、その後もパワー3の到達で食い止めてくれる心強い存在だ。


 対《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》


 《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》に対する数少ないアンサーである《疫病造り師/Plaguecrafter》、また逆に叩きつけることもできる《最古再誕/The Eldest Reborn》。

 これらのカードは前環境のゴルガリミッドレンジではミラーの《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》だけでなく、《潜水/Dive Down》を構えた《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》などの存在によりメインから入っていたが、現在の環境ではこれらのフィニッシャーがほとんど見かけなくなったことで入れる必要がなくなったようだ。

 しかし、今後メタの変化により《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》などを入れるデッキが増えるのであれば、この選択をするプレイヤーも多くなってくるだろう。

 ちなみにクリーチャーだけでなくプレインズウォーカーも対象となるため、3マナという軽さで《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を処理できる《疫病造り師/Plaguecrafter》の評価は上々のようだ。




 このように、サイドボード後は弱点を大きく補強し、逆に有利なマッチアップにまで出来るスゥルタイミッドレンジこそが"最優"たる所以なのだろう。

 2019年2月22日から開催されているミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019でもスゥルタイミッドレンジが使用率21.5%でトップになっていることから、いわゆる"丸い"選択であることに間違いはなさそうだ。

 予想以上に長くなってしまったが、ここまで読んでいただいた方に感謝の意を表し、締めくくりとさせていただきたい。次回は青単アグロについて触れようと思う。


了  

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