2020年6月4日木曜日

供養記事 LJL 2018 Summer Split Round1 - DFM vs PGM

 この記事では本当に中途半端なところで力尽きてしまったようだ……次回に活かしていくべく、供養とする。その次回が来るかどうかはわからないが。




 PGMが短期決戦の強さを見せ付けたSpring Split Finalから早2ヶ月。あれからLJLを大きく揺るがす出来事があったが、ここでは割愛する。
 DFMとPGM。2017、2018年のLJLで1位と2位を分け合い続けてきており、"因縁"という言葉が最も似合うこの二チームが、いきなりRound1から激突したのである。

 Round1 Match3 DFM vs PGM








 Spring SplitではADCが中心のメタであり、PGMのYutorimoyasiはLJLでも随一のパフォーマンスを見せ続けてきた。それは対DFMでも例外ではなく、ファイナルにおいては全試合でYutaponにまさしく格の違いを見せつけ続けていた。

 だが、この試合のパッチは8.11。そう、ADCが消えたパッチである。
 他のプロシーンを見ても序盤から中盤にかけたADCの存在感が無に帰し、それに適応できないチームは敗北していった。
 それでも、それを承知の上でADCを採用し、序盤~中盤は自分のペースに持ち込み、ADCが有利な時間帯である中盤~終盤まで試合を延ばさせることで勝利したチームも見られた。

 メタに適応し、勝利の杯を掲げるか。メタに適応できず、敗北を喫するか。それとも、メタに逆らう"アウトロー"として勝利を手にするか。DFMとPGMはどの立場になるのか――私がこのSummer Splitにおいて、最も注目している点だ。



  • 筆者の予想――メタに適応するのはどちらか?



 縁の対決となるこのカードだが、私の予想としてはDFMの勝利である。

 その理由として、Spring FinalではPGMにスイープされるという屈辱的な敗北を喫したものの、レギュラーシーズンにおいては全勝を成し遂げている。「遂に完成した」と評されるメンバーも不変であるのも大きな理由だ。
 さらにDFMは試合展開、そして疾風迅雷のごとく畳み掛ける勢いを以ってゲームを終わらせる事を得意とする。これに加えてCeros、Yutaponらもチャンピオンのプールが広く、これは大きく変化した現在のメタに対して柔軟な対応ができる証左に他ならない。
 また、新たなコーチに就任したKazuは日本人離れしたバンピックを出来るだけでなく、JooN前コーチの課題であったコミュニケーションの問題もまたかつてチームメンバーだった前歴から解決できると考えられるのもプラスポイントだ。

 ――何より、このパッチはかつてジャングラー、トップで幾多のチャンピオンで魅せてきたYutaponという"天才"が最も輝くであろう環境だと確信していたからだ。


 一方のPGMはYutorimoyasi+Gaengによって作り出される黄金のボットレーン、そしてPaz、Ramuneらソロレーナーはトップを争うほどの地力を持ち、何より前人未到の四連覇を成し遂げている。
 LJLの歴史において一二を争うボットレーンで確実に有利を取り、そこからスノーボールするのがPGMの主な戦術だ。これまでは8年間EUスタイルが続いており、Spring FinalにおけるDFMもそうだったように、「分かっていても対策の取り様がない」のもまた大きな強みである。

 だが、ADCの影響力が著しく減少した今回のパッチにおいて、この戦術は時代遅れの代物となりつつある。
 元々、真綿で首を絞めるかのようなスロウな展開を得意としていただけに、試合展開が速まった現環境は痛手であろう。
 他のチームであれば高い地力を以って勝利を手にしつつメタへと適応していく事もできただろうが、その初戦がDFM相手では非常に分が悪いと言わざるを得ない。


 これらの理由により、メタへの適応はPGMよりDFMの方が容易くこなせるだろう。その考えの下、私はDFMが優勢であり勝利するものと考えていた。


・バン、ピックフェーズ


 1.ファーストバンフェーズ


  • DFM:ゾーイ、ルシアン、カミール
  • PGM:タリヤ、ハイマーディンガー、スウェイン





 DFMはまずSpring Finalにおいて、Ramuneが素晴らしいパフォーマンスを見せたゾーイ、その次にDFMはカイサ・エズリアルらと共に生き残ったADCとされるルシアン――これはYutorimoyasiが得意としているチャンピオンである。
 最後に現在のジャングラーでノクターン・シンジャオ・グレイブス・トランドルらと並ぶティアー1であるカミールを消した。

 対するPGMはジャングラーの女王と謳われるタリヤ、Cerosを"ポケットピックの帝王"たらしめる代名詞であるハイマーディンガー、そして現メタで大きく評価を上げたスウェインを消した形だ。

 これを見て、私はノクターンとシンジャオ、あるいはグレイブスかトランドルといったジャングラーがまず取られるだろうと予想していた。現パッチにおいて試合展開を速めるキーマンとなるジャングラーは最優先のピックであるし、レーナーを後出しにできる意味は大きいからだ。


 2.ファーストピックフェーズ


  • DFM:ノクターン/モルガナ、オーン
  • PGM:シンジャオ、アリスター/ルル





 激に評価を上げてきたノクターンをDFMはファーストピックとして選択した。10秒にも満たない時間でピックしたことから、最初からこれを狙っていたことがわかる。
 それを見たPGMはシンジャオ・アリスターと選択。いずれも"フィジカル"が強く、現メタを象徴するチャンピオンと言えよう。またいずれもプロシーンにおいてPick率がTOP3に入るほど高く、まさしくティアー1と言えるチャンピオンでもある。

 一方でDFMはモルガナ、オーンを選択。特にオーンはUltでキャッチし、ノクターンが刈り取るシナジーが強烈で、元々大きかった評価をさらに上げているチャンピオンである。
 そしてPGMはラストピックにルルを選んだ。MS上昇、ASステロイド、シールド、そしてノックアップなどのサポート性能は敵と密着するアリスター・シンジャオとの相性が非常によく、明確な目的を持ったピックと言えるだろう。

 ここで思い出してもらいたいのが"ヤスオ"の存在である。Yutaponはかつて、日本プロプレイヤーの中でこのヤスオの強さを真っ先に見出した先駆者だ。古くからYutaponを知る視聴者の注目は間違いなくヤスオであっただろう。


 しかし、ヤスオというチャンピオンは不安定である。ハンドスキルによって大きく強さが変動する上、実力で上回らないと活躍することも難しい。現在のメタにおいて評価を大きく上げたとはいえ、日本にとっては未知数であるこの存在はこの因縁の対決において難しい立ち位置にあった。


 ――取るか。それとも、取らせるか。


 おそらく両者とも多少なりともこの考えがあったのだろう。PGMはアリスターを先にピックすることでヤスオを警戒させようとした。
 DFMはPGMのシンジャオ・アリスターら打ち上げチャンピオンを見ても、オーンのUltを消せるヤスオがフリーになってもなお、オーンを選択し「ヤスオはご自由に」という声が聞こえてくるような強気な姿勢を見せた。

 3.セカンドバンフェーズ


  • DFM:ドクタームンド、カイ=サ
  • PGM:ライズ、オレリオン・ソル





 ずDFMが消したのはムンド・カイ=サである。オーンに対して有効なピックとされ、時間が経てば経つほど手がつけられなくなる事で有名なムンドはPGMの戦術にフィットしているチャンピオンと言えよう。
 その次にADCの女王たるカイ=サはADCが消えたパッチと言われる現在の環境においても存在感を発揮している。特にAPASビルドのバーストは凄まじく、タンクですらあっという間に塵芥のように屠る力を持つ。

 PGM側はライズ、オレリオン・ソルを消した形だ。両方ともミッドレーナー(ライズはADCの可能性もあるが)であり、スウェインも加えて結果的にCerosのチャンピオンプールを4体潰したということになる。
 また、PGMはレッドサイドのため、セカンドピックフェーズでのファーストピック権を保持している。ライズを消したということは、ブラッドミアを阻むものはいないということになる。
 DFMはライズのバンを見た時点でその返しにブラッドをバンするものと考えていたが、そうしなかった。ノクターン、オーンとなればエンゲージ構成になり、それに強いプロテクトADC構成の中核であるカイ=サを使わせることを嫌ったのであろう。

 シンジャオ、アリスター、ルル。ADCにヤスオを置くことでFor The Yasuo構成を作り上げることもできるが、天敵たるライズのいないブラッドミアは紛れもなく最強の一角である。
 先にピックしたこの三体はプロテクトのみならずエンゲージとしても力を発揮するため、そういった意味でも優秀なダメージディーラーであるブラッドミアは有効なピックである。

 ここまでの流れを見てPGMがブラッドをピックすることは明らかで、「これはPGMだな」と考えていた。




 4.セカンドピックフェーズ


  • DFM:ブラッド/ベル=コズ
  • PGM:エズリアル、ガンクプランク


 かし、PGMはブラッドではなくエズリアルを選択した。あくまでオールドメタ――プロテクトADC構成でDFMを打ち破ろうとした。PGM、YutoriMoyasiはプロテクトADC戦術を得意としており、それはADCが消え去ったとされるこのメタでも有効という答えを出したのだろう。

 それを見たDFMは好機とばかりにブラッドをピック。最後にCerosのポケットピックであるベル=コズを選んだ。ノクターン・オーンが不在であり、遠距離からキャッチできるチャンピオンはいない上、Wによるプッシュ力でレーンを押すこともできる。
 

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